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高血圧、糖尿病は国民病とも言えるほど身近な存在です。
日本人の2~3人に1人が高血圧、糖尿病患者と言われており、
その数は約4700万人に上ります。


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透析療法

透析療法を続けていると、さまざまな原因で合併症(別の病気)が起こることがあります。透析を始めてすぐの時期に体が透析に慣れないために起こる合併症 (短期的合併症)と、透析を長く続けているために起こる合併症(長期的合併症)があります。ここでは、長期的合併症を中心にご紹介します。

 

短期的合併症(透析開始時に起こりやすい合併症)

透析不均衡症候群

透析を行うと、血液中の老廃物や水分は急激に減少し、血管と細胞の間に水分や成分濃度の大きな差(不均 衡)が生じます。普通は、血管の外の細胞の成分や水分が、血管内に入ってきて、この不均衡は小さくなりますが、透析ではこれらが急激に減少するため間に合 わなくなります。これによって体を流れる血液の量が減ってしまい、さまざまな症状を引き起こします。
主な症状は、低血圧、頭痛・だるさ、四肢のふるえ、吐き気、嘔吐、意識障害、筋肉のけいれん、などです。

長期的合併症

透析療法は人工腎臓に腎臓の働きを代行させる治療方法ですが、腎臓の機能を完全に代行できるわけではありません。透析や薬では補えない機能もあるので、合併症が生じます。
長期的合併症には、次のようなものがあります。

高リン血症

挿絵骨折透 析では、腎臓ほど高い効率で老廃物や余分な電解質(ミネラル)を処理することができません。高リン血症は、電解質(ミネラル)の一つであるリンが、透析で 十分に除去ができず、血液の中にたまってしまう合併症です。余ったリンが血液の中でカルシウムと結合して、血管の壁などにくっついて石のようになり(石灰 化)、動脈硬化を発生させます。また、血液中のリン濃度が高くなると、副甲状腺ホルモン(PTH)というホルモンが分泌されるために、リンやカルシウムが 骨から溶け出てしまい、骨を脆くしてしまいます。

治療としては、リンの摂取をおさえる食事療法とともに、リンを便と一緒に排出させる薬を服用します。

副甲状腺ホルモン(PTH)の増加

副甲状腺で作られる副甲状腺ホルモン(PTH)が、高リン血症の影響で血液中に増えてしまう「二次性副甲状腺機能亢進症」という合併症があります。PTHが増えると、骨がもろくなったり、関節が痛くなったりします。また、動脈硬化、心臓の機能異常、性機能の異常、貧血、だるさ、痒みなどさまざまな症状が起きることがあります。

治療としては、薬物療法と食事療法で、リンを除去したり、活性型ビタミンDを補います。PTHを下げるカルシウム受容体作動薬が用いられることも有ります。改善が見られないときは、手術で副甲状腺を取り除きます。

副甲状腺ホルモンの低下

副甲状腺ホルモンが基準値より低くなる人もいます。骨折などからの回復が遅くなったり、動脈硬化、心臓の病気などを起こすことがあります。

治療としては、食事や運動を改善し、服薬している薬や透析液の見直しを行います。

透析アミロイド症

β2-ミクログロブリンという尿毒素が体内に少しずつ蓄積され、アミロイドという繊維になって骨や関節につく病気です。手のつけ根のしびれや痛み、肩の痛み。バネ指(指がスムーズに曲がらず、曲げようとするとガクっと急に曲がり、痛む)などの他、さまざまな症状が出ます。

予防としては、新しいダイアライザーで透析を十分に行います。
治療としては、症状を抑える薬物療法を行います。また、外科的な手術で症状を緩和することもあります。

腎性貧血

ホルモンを産生する腎臓の機能が低下するため、造血ホルモンのエリスロポエチンが不足し、貧血になります。症状として、疲れやすい、動悸、息切れ、食欲不振、倦怠感などがあります。

治療としては、「ヒトエリスロポエチン型製剤」を注射します。

心肥大・心拡大

高血圧や貧血、水分と塩分のとり過ぎなどが原因で、心臓が大きくなることがあります。放置すると命の危険につながります。

予防としては、水分・塩分・血圧の管理を十分に行います。
治療としては、貧血の予防と治療を行います。

尿素窒素(BUN)が高いあるいは低い

老廃物の一つである尿素の濃度を表す「尿素窒素(BUN)」という検査値には注意が必要です。数値が高い 状態が続くと、嘔吐や食欲不振などの症状や合併症が出てくるおそれがあります。数値が低い場合は、たんぱく質の摂取量が足りないということなので、食事の 見直しをしなくてはなりません。

多嚢胞化萎縮腎(たのうほうかいしゅくじん)

小さく縮んで表面がかたくデコボコになった腎臓(腎萎縮)に、嚢(のう)胞という袋がたくさんできて大きくなる合併症です。自覚症状はほとんどありませんが、高い割合で腎臓がんが発生します。また、嚢胞が破れて出血することがあります。

治療としては、出血した場合に、輸血をしたり、手術で血管を詰まらせて止血します。

痒み

挿絵透析患者さんの中には、透析に入る前(腎不全期)から、痒みの症状を訴える人が多くいます。痒みの症状の出方は多種多様で、リンやカルシウム、副甲状腺ホルモン、尿毒素など数多くの原因がかゆみの発症に関与しているためと考えられています。

予防としては、まず高リン・高カルシウムの防止、副甲状腺ホルモン値の適正化、十分な透析など原因と考えられる要素を改善していくことがあります。また、規則的な入浴、皮膚への刺激を避ける、保湿剤を塗るなどの、皮膚への対策も有効です。

治療としては、痒みを止める抗ヒスタミン剤の塗布や服用、ステロイド外用薬、保湿剤、抗アレルギー薬の注射など、対症療法が行われます。

感染症

2010年の調査によると、透析患者さんの死亡原因の第一位は「心不全」ですが、感染症は第2位の死亡原因で増加しています。透析患者さんは以下のような理由で免疫力が落ちているため感染症にかかりやすいと考えられています。

<免疫力の低下を招く原因>

  • 食事制限による栄養・カロリー不足や貧血
  • 尿毒素の体内への蓄積
  • 透析器(透析膜)など人工の異物との頻回接触
  • 皮膚や鼻・のど(気道)などの粘膜の乾燥
  • 糖尿病などの病気
  • ブラッドアクセスや腹膜アクセスの留置
  • 血液のpH(ピーエイチ/ペーハー)(酸性になっている)
  • 使用している薬の影響

予防としては、次のようなことが重要です。

  • 皮膚や体を清潔に保つ(シャント部分は特に)
  • マスクやうがい、手洗いなどの感染防止をまめに行う
  • 食事療法に準じた栄養のバランスの取れた食事をとる
  • 少しでも異常を感じたら、すぐに医師に相談する

治療としては、抗生剤などの薬物療法を行います。

出典:アステラス